めちゃくちゃ面白い本をkindleで一気読み。

2014-11-19-08-58-44

いわずとしれた「まぐまぐ」創業者の大川さん。IT黎明期にまさに一気にブレイク。

一時期は時価総額が300億円もあった、誰もが知っているIT企業(もちろん、私も起業した時からずっと何年も使い続けていました)を、もろもろの理由で卒業され、もろもろの出来事に巻き込まれ、その後いろんなことがあって、旅にでるのです。世界にポーカー大会に出場する旅に。

それも、人間を知るため。素直すぎて相手の心理を読めなかった自分と戦うため。

その旅にでるきっかけも面白かったし、大川さんのほんとめちゃくちゃユニークな感性に大変魅かれました。

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ポーカーが好きな人はもっと細部まで楽しめるユーモア溢れた本なのでしょうが、そうじゃない人も楽しいはずです。

私は、起業した会社を上場させるまでの経験や、創業した会社を卒業したものとして共感することがありました。学ぶことが多すぎていろんな衝撃を受けすぎたことを、旅にでて整理したいという気持ちも共感できました。

起業してから上場するまでの間って、一筋縄では行かない。ゼロでなにもないところから、よい人間であろう、よい社長であろうとしたことのないほどの努力をして、チャンスを引き寄せて、人を引き寄せて、それでも、押し寄せる波や、死ぬほど苦しい状況を我慢したりしながら、奇跡のようにピンチをきり抜けたり、そして、すべての関係者を納得させるべく緻密に緻密に創り上げて、納得に納得の理論を積み重ね、やっと上場がきまる。経営者としては、会社も強くなったことだし、いよいよ本番、次のステージかと思いきや、お金も人も注目も沢山集まってくるので、いろんなこともおこる。

すごく誠実で素敵な人にも出会えるのですが、
ずる賢くて、どんな労力を使ってでも人をだまそうとか陥れようとする人も登場します。
でも、たぶん、そういう人たちは自分の悪気にも気づかなくて、もとそういう性格でそのような方法でしか何かを得ることが出来ない人たちなのかもしれません。

苦境に堕ちた時、さまざまな態度を取る人がいるのです。人間の感情と役割のデパートです。

そんな大川さんの体験が、リアルに伝わってくるので、読んでいる方が苦しくなってしまいながらも、大川さん独特の表現がユニークで思わずわらってしまったり。

ドラマを見ているような本です。

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ポーカーは私はあまりやったことがないので分かりませんが、ビジネスもそうだけど、ヒートアップしてくると、人間は感情や勢いだけで乗り越えようとする人がほとんど。でも、残念ながら、そういう人は、ちょっとしたラッキーをつかむことが出来たとしても結局は、勝ち続けられない。

熱くなりすぎず冷静に状況を判断し、理論的に確率を計算し、継続して戦いに臨みながら、ポジティブさも持ち続け、大きなチャンスを見逃さない。

人間は感情を味わうことも大切だけれども、感情に左右されるだけの人間は、何か大きなものを成し遂げたり、強いリーダーにはなれないのだと思います。

大川さんの思考回路や状況分析の表現が面白くて学ぶことが多くて、切なくてとっても楽しかった本でした。

逆境エブリデイ
大川弘一
講談社
2014-01-24